33号

*** 「ホッとスペース」便り ***  今年もクリスマスの時期になりました。11月の半ばには小学生がいつものようにボランティアに来てクリスマスツリーを飾ってくれました。クリスマスプレゼントのひとつは、今年も変わることなくお母さん達とスタッフの手作りです。折り紙で作ったサンタとリースを手が空いているお母さん達が部屋の隅でせっせと作っています。ツリー型の大きめのクッキー作りにも取りかかったところです。子どもがお昼寝をした午後の時間帯に隣のキッチンでクッキーを焼き、約一週間後に思い思いにアイシングでデコレーションをします。お菓子作りが得意なお母さんを中心にみんなで楽しく準備をしていきます。このような行事の度に思うのですが、誰かが特別に号令をかけるわけではないのですが、だいたい予定通りに準備完了して当日を迎えています。  また、このような大きな行事の折に感じますのは、保育園や幼稚園に行っている親子が真っ先に参加者名簿に名前を書いて、準備段階から「ひろば」に普段来ている人たちと同じように参加して、その日を心待ちにしているということです。土曜日にはすでに保育園や幼稚園に通っている子どもがママと一緒に遊びに来て、子どもは遊びに、お母さんは久しぶりの再会にお話に夢中の一日となります。このように「ベーテルひろば」にかつて来ていた人達が、幼稚園や保育園に行っても何かの折に遊びに来て、交流が深められる流れを私は嬉しく思っています。「ひろば」で出来た人との関係が続くことで、いつしか地域で生活するうえでの温もりになると考えます。この温もりが現代社会で地域社会を再生する大切な芽生えのような気がするからです。(記 森木美佐子)

32号

*** 「ホッとスペース」便り *** 「ベーテルひろば」に参加する人は従来は圧倒的にリピーターの方でした。それが今年の春から少し様変わりして、新しく訪ねて来る方が毎回数名はおられます。以前は新しく来られた方に「ベーテルをどこでお知りになりましたか?」と聞きますと、ほとんどの方が「口コミで」と言われました。しかし年を追うごとに「ホームページを見てきました」という方が増え、また来られるきっかけも様々です。 最近、「ひろば」でお母さんたちが何気なしに話している事で心に残ることがありました。ベーテルに2年以上通っている人や、最近、江戸川区に越してきた方など数人でのおしゃべりです。「ベーテルだと一回しか会っていなくても、ベーテルで会いましたね。と、気軽に話し掛けられるが、他の広場では何回会っていても気軽に声を掛けられない。この違いは何だろうね。」と言う話題でした。みんな口々に「そうだよね。どうしてだろう」とそれぞれ自分に置き換えて考えていました。引越ししたばかりでも、いつも行くスーパーマーケットで「ベーテルで会いましたね」と声を掛けられると親も子も「この町で生活をしている」という安心感が出てくるようです。私も自分の人生を振り返り、ただちょっと声を掛けられたことで気持ちが開き、嬉しくなったことが思い出されます。特に、「ベーテルひろば」の在る場所はこの地に住み始めたばかりの転勤族が多くを占めます。町のどこかで出合った折には、手を振っても、目で合図でも「お会いしましたね」と何気なく挨拶できる関係を持てると良いですね。 7月になり、4年前に初めて東葛西小学校の子ども達がボランティアに来た頃担任の先生から送られた感想文をふとしたきっかけで読み直しました。そして、前述のお母さんたちの話を聞きながら、4年経った今、ボランティアに来ている小学生にも「ボランティアはどうだった?」等の関係者からの声掛けや励ましがどのようなに行われているのか、と脳裏をかすめました。ボランティアをするという同じ行動でも声を掛けるという関係性が豊かだと、その意義が深められるのではないだろうかと思いました。(記 森木美佐子)

31号

*** 「ホッとスペース」便り *** 東京ベーテルが活動を始めて8年目の春を迎えました。参加する親子が刻々と変わっていくためにベーテルの活動もその時々のニーズに沿って刻々と変わっていきます。相手に向き合い、寄り添ってともに歩むという原則に立つ限りは私達の活動に一箇所に滞るということはないのです。幸いなことに毎年いろいろな持ち味の親子との出会いがあるため、私達スタッフは今年は何が起きるのかなとドキドキワクワクしながら「こんにちは!」と玄関のドアを開けます。 以前何回か紹介いたしました東葛西小学校の5、6年生のボランティアは、今もずっと続いています。特に昨年は年間を通してたくさんの子どもが切れ間なく遊びに来てくれました。きっかけはそもそも6月の総合学習の時間に私がベーテルのビデオを紹介しながら「ボランティア」について話したことでした。その折にベーテルの地図を置いて帰りました。その後一回引越しをしたのですが、子供達は両方の場所へ自分達だけで地図を頼りに訪ねて来てくれます。 平日は短縮授業の水曜日しか来られませんでした。その日は30分だけ赤ちゃんと遊んで帰ります。4年前に今日の交流のきっかけを作ってくださった当時の5年生の担任だった島袋先生が「土曜日に“ベーテルひろば”が開設していると子供達は長い休みでなくてもゆっくり遊びに行けるようになる」と希望を話されていました。ひろばに来るお父さんからも「土曜日開設」の希望が届いておりました。何年もあたためた計画を昨秋やっと実施することができるようになり、土曜日に「ひろば」を開設して小学生もお父さんもゆっくりと「ベーテルひろば」で過ごせるようになりました。  土曜日に「ひろば」を開設して半年が経過しましたが、普段の「ひろば」の顔ぶれと少し異なり「土曜日の味」が出されるようになりました。そこで、今年の目標の一つとして土曜日の「ベーテルひろば」をそのまま表現するネーミングをつけてより充実させていくことがあります。名称の「世代間や異年齢児童交流サロン」は内容が分かりやすいとは思いますが、内心はおしゃれなネーミングに惹かれます。 いずれみんなで考えましょう。 土曜日のひろばへの希望・アイデア・感想をお寄せください。(記 森木美佐子)

30号

** 「ホッとスペース」便り *** 8月に「ベーテルひろば」を新しい場所で始めてから半年が経ちました。秋になって子育て支援マップやベーテルのホームページを見て新しい人も次々訪ねて来られます。昨年から来ている人たちはベーテルひろばの家風(?)になじんでおり、新しく訪ねてきた人にこの地域で生活をするための「お助け」情報を親切に教えています。皮膚科や小児科やショッピングの情報は転居してきた人には直ぐに役立つ情報です。場所は変わっても「ベーテルひろば」の雰囲気は以前のままです。夏に人気だったプールの場所は秋からは小さな砂場になり、子供達の楽しい遊び場所になっています。子供達は本当に外遊びが好きなのだと思って陽だまりで遊ぶ様子を見ています。室内でお気に入りのおもちゃでどんなに楽しく遊んでいても、一日に一回は外でしっかりと遊んでからお家に帰りたそうです。前号でもおしらせを致しましたが、大家さんのご好意で外周りにも手を加えることが出来て今日あることを、心より感謝しております。 ベーテルの伝統になりつつある「特技披露」はますます盛んになり、ベーテルひろばに来るみなさんの生活に彩りを添えているように感じています。自分の得意な事を何気なく自然体で披露できる温かい環境に感激することがしばしばです。この冬は指編みのマフラーが「ひろば」でブームになりました。字の示す通りに毛糸と指だけを使って簡単にマフラーを作れるのです。子どもがそばで遊んでいても危なくないし、一時間もあれば完成するので、講師のママはアンコールに3回も応えてくれました。特別な道具を用意しなくても出きる「カステラ」も大人気でした。これも「ひろば」に来るお母さんが講師になって教えてくれました。  このように教えたり、教わったりが日常的に定着しているおかげで、普段ちょっと困っていることでも助けたり、助けられたりがひろば内のお母さん同士で上手く還流しているように思います。希薄になった地域社会の再生が盛んにいわれておりますが、「ベーテルひろば」の場合、「ひろば」内でお母さん達自身が豊かな人間関係を作りあげているように私は思い、見守っています。最後になりましたが、ベーテルのホームページがリニューアルオープンしました。2000年にホームページを開設して依頼、小修正は何回かしてきましたが、大幅な更新はなかなか行えなかったのですが、このたび「ひろば」にも度々遊びに来られたお父さんが最新のホームページを作って下さいました。今年になって、ホームページを見てひろばに来る方が増えています。(記 森木美佐子) 

29号

*** 「ホッとスペース」便り *** 毎号「ホッとスペース便り」で東京ベーテルの目指すことやその時々の広場の様子を皆様にお伝えしています。  今回はひろばの様子を少し踏み込んでお伝えし、読んでくださる皆さんと一緒に考えてゆけたらと、念願しています。私達スタッフはひろばに参加する親子と交流を持ちながら時に感動し、時に見守り、時に相談を受け、終始一貫していることは気持ちに寄り添って共に歩んでいることです。  そこで、年々ある現象が私達スタッフの目に止るようになりました。生後半年くらいから ベーテルに来るようになり、ハイハイして歩き出し、毎回お気に入りのオモチャで存分に遊び、お母さんも傍らで子どもが機嫌よく遊ぶのを見守りながらお母さん達とお話をしながら過ごしています。そのように日々、成長してゆく姿に拍手したい気分でいると、突然、来られなくなり、3〜4ヶ月から半年して、又突然遊びに来られます。  その場に居る人たちは「まぁー大きくなったね!」と歓迎し、嬉しい再会となります。しかし、子どもに以前のように玄関でクツを脱いで部屋に飛び込んで来るような勢いが無いのです。久しぶりと言うことだけではないようです。あんなに楽しく遊んでいたのに、自らは遊びに手が出ず、終始不機嫌な様子です。それとはなしに「どうしていたの?」と聞きますと各種教室に通い始めたとのこと。私達は実際見学をしておりませんが、あるお教室の場合、開催時間はT時間で、その間、子どもが飽きないように10分〜15分間隔で手遊び、粘土、工作,リトミック、絵本読み等が組み込まれているようです。ただ、1歳〜2歳の子どもにとって毎日のように違う場所に行き、好きに自由に遊べない時間が繰返される事がこの年齢の子どもにとってどんなに大変(苦痛)なことであるか。はじけるような笑顔で部屋中駆け回り、オモチャを手当たり次第に出して夢中で遊んでいた姿は薄れ、「ママ、ママ」と追いすがる姿にまたあのはつらつした遊びを取り戻してあげたいと思わざるを得ないのです。そこで、「赤ちゃんは遊びが仕事。自分の意思で自由に遊びを選んで満足するまで遊ぶ。その体験の積み重ねで成長していくものなのだ」と今一度、知ってもらいたく、今回は子どもの代弁者として皆さんに語りかけることにしました。どうぞ、皆さんからも自由にご意見をお寄せくだ さい。子どもの心身の健康な未来の為に一緒に考え、取り組んでいきましよう。                                                                            (記 森木美佐子) 

28号

*** 「ホッとスペース」便り *** 前号で報告しましたように、6年間活動の拠点としておりました場所を移転することになり、悪戦苦闘しました。ひとまず3月末に移転しましたが、その後も「ひろば」により適した場所を探し続けておりましたところ、6月末に大家さんとなる地元の児童民生委員さんから賃貸物件の一階の2部屋を使っても良いとの申し出を受けました。早速許可を得て改装も7月中旬に完了、8月に希望にぴったりの「ベーテルひろば」の開設となりました。 自由に使えるキッチン、小さな砂場と水遊びもできる空間を備えることができました。 大家さんにただただ感謝の思いで一杯です。今、世の中は急激に「子育て支援」と言われるようになりましたが、スローガンだけではなかなか状況が変わることはありません。 「ニーズ」に気づき、応えていこうとする気持ちと行動を起こすことが、社会を変える大切な一歩になります。 机上の理論ではなく、いかに現状に即しているかを常に照らしてみる知恵が求められるのではないでしょうか。 場所探しの過程で様々な意見を聞き、私自身は「子育て支援、ひろば事業」に画一的なモデルを掲げるのはおかしいのではないかとの思いを強くしました。例えば東京から北海道へ転勤した人からメールで相談をしばらく受けました。その方の不安は病弱な新生児を連れて苦手な雪の日に車の運転をして通院することでした。この方の場合、自治体の建物を「ひろば」に開放した立派な施設を紹介することよりも、保健師さんの家庭訪問がニーズに適った支援になる訳です。その意味合いで、コミュニティとしての要素が強い「ベーテルひろば」には集まる人達の生活の場となる為、「キッチン」が必要不可欠となるのです。それぞれの「ひろば」によって、必要不可欠な物がそれぞれ異なるということ、その違いに気が付くセンサーがこの事業にはどんなに大切なことであるか、「ひろば事業」に携わる多くの方達に知ってもらいたいと願っています。 「ひろば事業」がこの日本で実るよう祈るものです。最後になりましたが、移転に際し多くの方々からのご協力に感謝申し上げます。       (記 森木美佐子)

27号

*** 「ホッとスペース」便り *** ベーテルでサポーターとして働き始めて2年が過ぎました。初めは「一体、私にお母さん方の子育てをサポートできるのかしら」と不安でしたが、結局、私自身がお母さん方やお子さんと直接関わるなかでたくさんのことを学ばせていただいたようです。まず お子さん一人一人が本当にユニークな存在であること。また時代が違っても「いのち」をはぐくむことには早道もマニュアルもないこと。そしてベーテルでお母さん同士が子育ての喜びや大変さを分かち合い、励まし合い、アドバイスをし合ってたくましくなっていくことなどです。  私はサポーターとしてそんな広場でご一緒させていただきながら、子供の「いのち」は社会の共有財産であることをますます確信しました。基本的には子供を育て、自立させ、社会に送り出す責任は親にあるものの、私を含め誰一人完璧ではありません。同じコミュニティーに住んでいるもの同士がベーテルのような場所で出会い、少しずつ心を開いて、悩みや足りない所や弱い所を打ち明けながら関係を作っていくことは、家庭にとってはもちろんのことですが、コミュニティーにとっても大きな力になると思います。 このような出会いの場所となるベーテルのサポーターとして、その関係作りのための環境を整える、つまり潤滑油のような役目を果たせたらと思っております。他のお子さんとたくさん触れることによって、お母さんは自分の子をだれかと単純に比較することから解放され、却って視野を拡げることができるようです。よそのお子さんと楽しそうに遊んだりその成長を心から応援したりしているお母さん方の顔を見る時、サポーターとしてこの上ない喜びを感じます。自然界の絶妙で完璧な秩序とバランスのように、私たちの社会も一人一人の個性が美しい音色を奏で、それが共に響きあって感動的な 音楽を作り続けたいものです。               (記  中井洋子)

26号

「ホッとスペース」便り (26号2006年3月)
会報の冬号をお届するのが遅くなりました事をお詫び致します。実は、昨年の秋より諸事情により「ベーテルひろば」を移転する準備をすすめてまいりました。移転先が決まりやっとお知らせできることになりました。
年々利用者が増え、平成17年度は延で約4千名になります。
これだけの人数の利用できるスペースを民間で準備する事がどんなに困難な作業であるか、ここ数ヶ月で味わいました。ともかくも今年の4月からは南葛西のマンションで今と同じ、家庭的でくつろいで過ごせる「ベーテルひろば」をスタートする運びとなりました事を先ず皆様にご報告いたします。又、今年になり幸運なことに滋慶学園医薬専門学校より思いがけず、実習場所の利用の申し出もありました。週に一度は普段の「ベーテルひろば」よりも数倍広い場所で子ども達は思いっきり体を動かせそうです。その上、葛西駅のすぐ近くですので、駅を利用する方、今までベーテルに来ていた方には乳母車でそのまま来られる場所です。 新しい「ベーテルひろば」は駅からバスで3個目の停留所ですが、お母さん達は自転車に子供を乗せる練習をして、「遠くなっても行くぞ!」と頼もしい声が聞かれます。
さて、今年はベーテルが活動を始めて7年目になります。活動の原点は親子で安心して過ごせる「居場所」であり続けることです。過ごす内に気持ちがゆったりし、話す楽しみ、出かける楽しみ、時にはプログラムに参加する楽しみが日々の生活の中に息づいていけば、いつか子どもと歩むながーい道のりに楽しいなと思える日があると信じます。
昔、辛い農作業の合間に「お祭り」を楽しみに農作業に励んだと社会科の時間に聞きました。仕事に従事していても、子育て中も、仕事からリタイアしても生活の中に楽しみを見出せるエネルギーは持ち続けていたいものです。そうなれるよう、サポートすることも楽しいものです。
(記 森木美佐子)

25号

カフェSaturdays by Tokyo Bethelに参加して

試行錯誤しながら出発したベーテルママによるカフェSaturdaysですが、開店から数ヶ月を経て、ベーテルらしいお店に落ち着いてきました。どの様に“ベーテルらしい”カフェなのか?お店の紹介も兼ねて報告したいと思います。
まず、Saturdaysが提供している焼き菓子についてですが、当初からおいしいと評判だったシフォンケーキ(それもそのはず指導のパティシエの技術と隠し味をマンツーマンで習得しました!)と嬉しくもすぐに売切れてしまうパウンドケーキ各種の2品にしぼって当分はお店に出していくことになりそうです。自信を持って「これがベーテルの味だ」と思えるものをお店に出したいという願いからです。スタッフのこだわりと日々の研究の成果なので、ぜひ一度味わって下さいね。
次にお店の雰囲気ですが、回数を重ねるごとにベーテルが思い描いていた様な「ホッと」できるスペースができつつあります。赤ちゃんと一緒のママ達がひと時のケーキタイムを楽しみに来られるだけでなく、パパも一緒に来てママの「日常」をケーキを食べながらお話されている事もよくあります。また、子供の手が離れたご夫婦だけでゆっくりとされる方、近所の買い物ついでに立ち寄られる人、コーヒーを飲みに遠慮がちに入られる(多分独身の)男性などなどお客さんの層も広がっています。あと、「おいしいケーキを帰省の手土産にと思って」などとお持ち帰りのお客さんが多いことも嬉しい傾向です。
11月からはフリマも併設して、ますます面白い空間になっています(フリマの達人が品物を厳選しているのでお買い得品がいっぱいですよ)。
最後にお店に関わるスタッフについてですが、実際にケーキを焼いているベーテルママの情熱と努力にはブラボーと驚いています。まだ幼い子供がいるという状況上アクシデントも発生しますが、そこはお互い柔軟にバランスを取っていくように努力しているところです。その一例として、店担当と子守担当のママに分かれて、子供同士は一緒に遊べる様にすると子供も楽しくてママも安心してお仕事が出来るということも分かってきました(そしてもちろん影にはパパの多大な協力もあることを付け加えておきます)。子供もそしてパパも真剣に取り組むママの姿を誇らしげにしていることが、カフェの運営を続けていくひとつの価値ではないかと考えています。
それでは、Saturdays by Tokyo Bethelはみなさんの関わりによってこれからも成長していきますので、応援よろしくお願いします。
(記 ベーテルスタッフ 森木美恵)

24号

東京ベーテルでは新年度より新しいスタッフが加わり、ますます充実した活動を展開しております。狭いスペースにたくさんの人が集い、もう少し広い空間を準備できれば…と常々思う日々なのですが、ここに至り改めて「ひろば」は「場所」ではなく、「人」によって作られていくものであると確信しております。そして何事にも築いてきた歴史があり、現在があるとゆう事です。これまで真摯に歩んできたスタッフが今のベーテルの基礎を築いてくださり、今こうして新メンバーと共に新しいページを刻む事ができるのです。
さて、現在「ひろば」では益々お母さんの特技披露の風潮が定着をしてきています。
月間予定表に新にプログラムが増えていますが、全部自前の講師で埋められていきます。
将来自分の特技で各種教室を開く夢をもっている方、またはボランティアの夢を手身近な所からと思っている方、とその想いは様々ですが、今人との繋がりを生み出す波が、「ベーテルひろば」から確実に広がろうとしています。
こうしたさざ波はお母さんたちのみでなく、お父さんたちからも芽生えています。土曜日の「コミュニティサロン」に参加するお母さんに代わり、保育担当としてお父さんが、「ベーテルひろば」に集まって子どもと遊んでいます。子どもたちとお父さんたちの遊びが、自然と広がっているのです。こちらも今後が非常に楽しみです。
最後に、半年、一年前にベーテルに遊びに来ておられたお母さんが、子育ての相談等で、再び「ベーテル」を思い出して訪ねてこられる事があります。そうしたお母さんの姿に、スタッフ一同ますます精一杯お応えしたいと、想いを一致させております。
(記 森木美佐子)

23号

今年4月より「ベーテルひろば」事業が江戸川区ひろば助成事業となりました。応援くださる皆様のおかげであると、多くの方々に心より感謝をしております。
2000年に活動を始めました頃には、「子育て支援」と言う言葉すら一般には馴染まれていませんでした。各種団体に助成金申請をしましても、対象事業は「老人福祉と障害者」に限られますと断わられました。ほんの5年間で日本の子育て支援事情は大きく様変わりしました。様々な方策が打ち出され、5〜6年前より支援策は豊富になりました。そのこと自体はすばらしいことです。
しかし、提供されているメニューの数に手放しで喜べない、何か地に足が着いていない様な危うさがよぎります。それは、メニューの数では真の支援・真の豊かさには届かないのではないかという思いが根っこにあるからです。例えば、

・親になろうとする人たちの育ってきた背景への洞察。

・それぞれが生活する社会、つまり子育てをしやすくするような地域社会の形成。

・子育ての先輩達の育児への温かいまなざしと手助け。

これらメニューには現れない、ソフト面にはどのようなまなざしが注がれているでしょうか。方策に肩入れしただけでは育児力を底上げすることはできません。ソフト面の充実には長い時間がかかります。そして私達、草の根の活動にこそ、その役割が課せられていると気持ちを新たにしております。これまで同様に皆様の心温まる地道な応援をお願い致します。
(記 森木美佐子)

22号

16年度の事業が終わろうとしています。一年を振り返り、関わった人たちの目ざましい成長を目の当たりにできることの幸運に喜びを感じる日々です。
日常の忙しさの中で、ごく普通の営みに目をとめてみると、心を動かされる出来事に出会います。私達はとっても恵まれた場所にいさせてもらっているのだなと感じています。
前号でお知らせしました東葛西小学校の5年生との交流も続いております。
1月21日には「ベーテルの赤ちゃんとのふれあいチャレンジ」が全国大会の公開授業に「人や物と深く関わり、課題を見つけるために」のテーマの一つとして実施されました。
その過程の準備の段階では私達大人の感覚では難しいかなと不安に思うこともありました。しかし、子どもたちは信じてゆだねられると想像を越えたすごいエネルギーを発揮することを見せてくれました。参加した「ひろば」のお母さん方も我が子よりも小学生が赤ちゃんと楽しく遊ぼうと工夫し、精一杯取り組む姿に目が釘付けになったと感想を寄せています。このように人の交わりは小さなことから始まり、一人一人を大きく育てることを実感する事業に携わらせていただき、スタッフと共に感謝をしております。
さて、「ベーテルひろば」でも日々子供たちはたくましく元気に育っています。
ハイハイの頃から来ていて、3歳になり今春幼稚園に入園する子もいます。
ベーテルの3歳の子供たちはいつも年下の赤ちゃんが一杯いる環境の中で日々、遊んでいます。母親も自分の弟や妹以外に他の子のお守りをしたり、玩具も独り占めには出来ません。大勢の中で育つと知恵が働くのだなと感心しています。
「今、赤ちゃんがみんなお昼寝をしているから粘土を出して」とか、スタッフが忙しくしていると手すきの誰かのお母さんにラジカセの動かし方を説明していつもの時間になるといつもの大好きな「ゴリラの体操」などいくつかのメニューをこなしています。
又、最近特に心に留まる場面ですが、子供同士が喧嘩をすると双方の親は「ごめんなさいをしなさい」、一方の親は「許してあげなさい」の場面が良くあります。すると謝られても本気で謝らないと2歳の子どもでもはっきりと拒否をするのです。
形式的に謝ると「イヤ!」と拒否をして本気の謝罪を感じるとニコッと笑います。
私は「イヤな事はイヤと言えてえらかったね」と拍手を送っています。
(記 森木美佐子)

21号

東京ベーテルの5年目の活動も半分終わったところです。5年目だから遭遇したのではと思う事柄も多く、時間の経過の重みを感じています。その一番はやはり人のつながりです。
今年のサポーター養成講座には東京ベーテルの活動を知っていて下さる先生方に講習をお願いできました。当日参加した方々もベーテルのような活動に以前から関心をもっておられ、いつか何か自分もと感じておられる方々の出席が多く、大変力強く思いました。
10月23日には講師の橋本洋子先生を迎えて一回目が終わったところです。「新生児と同じように産後のお母さんには特別な周囲の暖かいまなざしが必用であり、真のサポートの大切さを学ぶことが出来ました。次回の講座が楽しみです」と感想が寄せられております。
さて、何時ものように「ひろば」の様子をお知らせ致します。今年初めて「ハローウィン」をしました。お母さん達の発案で、計画・準備もお母さん達で行われました。2週間ばかりで部屋の飾りつけは「ハローウィン」一色となりました。当日は22組の親子で仮装をして歌い踊り、「ハローウィン」の絵本を見て、楽しい時間を過ごしました。お菓子作りの得意なお母さんは子ども達にクッキーを作り、大人にはやはり手作りのケーキの差し入れがありました。
以前、来ていたあるお母さんは「ベーテルは週に3回開設だが、ベーテルのない日も次にベーテルに来ることを楽しみに過ごせる」と話されました。最近のお母さん達の様子を見ながら、自然体で内面から喜びを体験できる日々をそれぞれの流儀でやっているのだな!と思いをめぐらせています。この秋はここではご報告しきれないほどたくさんの楽しい出来事が続いています。
11月2日には東葛西小学校5年生の「ふれあいチャレンジ・赤ちゃんと遊ぼう」に招待され、体育館の広い場所で小学5年生88人とベーテルひろばの赤ちゃん30名とお母さん、スタッフで生徒さんと交流しました。以前ベーテルに何回かボランティアに来ている小学生の顔も見え、ここでも人のつながりの温もりを感じました。お母さん達は、広い体育館の中で親を離れ、お兄さん、お姉さんとはしゃぎ遊ぶ我が子を見て「子供が頼もしく見え、このままの子育てでいいのではないか」とチョッピリ自信になったと感想をのべられる方もありました。
(記 森木美佐子)

20号

前号で紹介致しました東京ベーテル翻訳出版の「すこやかに育つ5歳未満の子育て」は読売新聞に2回紹介され、直後1ヶ月余りで約1500件の問い合わせがありました。約7割の方は祖父母から娘さんやお嫁さんへのプレゼントのためとの感触を受けました。この様子からも、今の子育ての背景を垣間見られたような気がいたします。
さて、東京ベーテルは東京23区で一番子どもが多く、そのうち5分の3が葛西地区に集中というその葛西地区にあります。若い夫婦の大多数は地方からの転勤族で構成されており、まさしく、だれも頼る身内の居ない所で慣れない子育てが始まる訳です。「東京ベーテルをもっと早く知りたかった。来て、他のお母さんやスタッフと話すだけで気持ちが楽になった」と多くの方の感想です。お母さん達と日々話をし、子ども達と過ごす中からその時々に出てくるニーズに応えるべくプログラムや関わりの内容を問いながら活動を展開しています。
従って、ベーテル内でのプログラム実施はニーズにグッドタイミングに応えていくことで適えられていきます。最近はベーテル講座で「お産を語ろう会」、「オムツはずしの道筋」に講師を招いてディスカッションしました。参加者からは「疑問が整理出来た」とすっきりとした表情の感想でした。広場事業は地域に根ざした活動です。現代社会で希薄になった、社会全体で子育てを見守っていこうと言う展望が根底にあります。
従って@地域のニーズはそれぞれ異なり、A地域で提供できる資源も異なります。ですから、その国や地方によってビジョンや運営のあり方に特色があることは当然のことと思われます。
どんなにニュージーランドのプレイセンターが素晴らしくっても、そっくり日本で真似することはニーズに合致した地域に根づいた活動になるでしようか。同じことが日本中の「ひろば事業」にも言えないでしようか。もちろん、参考にしたり、学ぶことはどの領域でも大切なことです。「広場事業」は先ず、地域で愛され、親しまれていく過程で何時しか多くの人の賛同を得ていく、草の根の要素を忘れてはならないのではないかと、最近の風潮から疑問に思いはじめたところです。子育てに関心を持ってくださる方には、各地域・各団体の独自性を育て、見守る視点を持って、応援して頂けたらと望むものです。
(記 森木美佐子)

19号

ニュージランドの育児書の翻訳が完成しました。契約書にそって20冊をウエリントンのプランケット協会に持って行き、ジェネラルマネージャーに手渡して来ました。(4/15〜4/16)プランケットを利用する方たちから手作りのケーキで心温まる歓迎を受け、2日間びっしりと総勢8名の方から1時間ずつプランケット協会の仕組みやファンド・教育プログラムのレクチャーを受けました。そこで、一つ目のアクシデントは初日にいきなりニュージランドテレビの取材をうけることになり、テレビカメラのまわる中で、ファミリーセンターの見学やレクチャーが予定通り進んでいったことです。マネージャーに本を渡して1時間後にはテレビ局のプロデューサーが来て打ち合わせが始まりました。アクシデントの2番目はその結果、私たちは自分のカメラを取り出す機会がなく、写真が無いことです。2〜3日以内に放映され、ビデオを送って下さるとの返事をもらいホッとしているところです。 その講義ですが、朝8時30分に始まり大体午後4時30分ごろまでプログラムは詰まっており、持参した20冊の本の重量とほぼ同じくらいの資料を持ち帰りました。どこでも手に入るパンフレット類ではなく、それぞれの担当者の方が準備作成してくださった貴重な資料です。最後の夜スーツケースに詰めながら東京ベーテルは90年の歴史のあるプランケット協会からダイヤモンドの原石を預かったような気がしてきました。その原石を時間を掛けて輝かすと言う大きな目標が又ひとつ出来ました。適切な表現ではないかもしれませんが、敢えて表現しますと彼らは一様に人柄が暖かく、アカデミックな素養の上に豊かで確かな経験を積んだ方達でした。英語が話せず、現場の経験しか持たない私に研究者の娘が通訳をしてくれたことは信頼を深められたように感じます。お知らせしたいことは山程ありますが、次回報告させて頂きます。
(記 森木美佐子)

18号

暦の上では、もう春が来たとのことです。少しずつ、日も長くなってきました。皆様、お元気ですか?ここホッとスペースで、サポーターのお仕事をさせていただくようになってから、早、半年になりました。広がってゆくお母さん方の輪や、1人でも凛としてお子さんとベーテルにいらっしゃる多くのお母さま方など、いつも微笑ましく拝見しています。そして、何よりも、森木さんご夫妻が、東京ベーテルに対して真摯に取り組まれる様子を身近に拝見させていただき、意識を《外=社会》に向けていることの大切さ、それをコツコツと謙虚に行動に移すという素晴らしい実例に、多く触れる機会にも恵まれました。
(お2人の“名パートナーぶり”もです!)
先日は、ベーテル特別講座ということで、“コミュニケーション”について数人のお母様方と森木さんと私で話す機会を設けました。昨夏まで8年間アメリカの大学院で“異文化コミュニケーション”という学問を研究し、そして現地の大学レベルでも教えていた教育者の私としては、大変身近な内容であると同時に、現在、日本社会が抱える様々な問題の解決の“カギ”を握るものとして考えています。子育てに関わるお母様方がどのように自己と向き合っているか、さらに夫婦間のコミュニケーション、近所との付き合い、地方から東京に転勤してくる場合の新たな経験などなど。ストレスのあまりかからない、満足・納得のいくコミュニケーションとは何なのかを考えるのは、とても重要なことです。
一般的に日本では、コミュニケーションの実践に於いて、“多くを語らず、多くを理解する事”や“以心伝心”の大切さが、しつけや学校教育を通して、小さい時から強調されてきています。しかし、久しぶりに帰ってきた日本の現状を見るにつれ、そのようなコミュニケーションに関する風習も、これから変わってくるのではないかと思います。例えば、
(1)相手が誰であれ、何歳であれ、女であれ男であれ、人格を尊重し、威嚇したり押さえつけたりすることなく、お互いの違いを、理解し受け止めることが出来ること
(2)自分の考え・意思・欲求を、自信と信頼をもって、ハッキリと明確に、相手に伝える言語技術を身につけること
他にもありますが、一番のカギは、自分自身の個性・ニーズをまず理解し、そして受け止めることではないでしょうか?自分を愛し、そして幸せでいる、それを表現することが、ひいては周りの人々・地域社会を幸せにする力につながると思います。
(記: 金田民栄)

17号

今年も多くの皆さんの応援を受けて、東京ベーテルは飛躍の年となりました。
9月から隔週の土曜日に実施した5回シリーズの「サポーター養成講座」も11月22日に無事終了し、修了証書をお渡ししました。講師の先生の指導のもとロールプレイが前半に組み込まれた事で、皆さんが共同作業の仲間の一員として意識する盛り上がりの一歩となったようです。最終回のグループ討論では、「何か行動していこう」という熱気に満ちていました。この会をこのまま終わらせないよう「その後の様子を語る会」とでも題して「集う会」を計画したいと思っているところです。
さて、一年を振り返る意味を含めてベーテルの「ひろば」で目指していることを箇条書きにしてみます。
1.「ひろば」は公益性の高い事業です。従って、利用料が高額になると特定の人だけが受けられるサービスとなり、こども未来財団や厚生労働省が目指すものと違ってきます。もちろんベーテルの目指すものでもありません。
2.「ひろば」は誰でも気軽に好きな時間に立ち寄って過ごせる場所です。また、「ひろば」は人が集まるだけでなく、気持ちの交流が在る場所でもあります。親同士、親とスタッフ、子供同士のコミュニケーションが取れる温もりのある空間を提供することがベーテルの願いです。
3.「ひろば」にはマラソンの伴走者のように、お母さんの気持ちに寄り添い、話を聴き、ときには自分の経験談を伝えるサポーターが常に居ます。地域社会の役割が弱くなった今の時代、子育てをするお母さんには「親子がどう関わっていくか」のノウハウを伝える支援が重要と考えます。
4.「ひろば」にはお母さんやサポーターを含め参加者ひとりひとりをエンパワーメントする役割もあります。自分の持っているものを発揮し、自分らしく生きる。自分に自信を持つことで子育てにも自信が持てるようになります。ベーテルの「特技披露」の時間は自己実現の一歩です。
来年は開設5年目となります。来年の東京ベーテルは「ひろば」に参加されるお母さん方と“共に歩み、創り出すひろば”をめざして進みましょう!
(記 森木美佐子)

16号

小学生が私の夢の実現に手を伸ばし涼しい夏から、いつもの年のような青空のきれいな秋を迎えました。人間の習性は変化よりも慣れ親しんだ繰り返しに心身ともに呼応するのではと、今年の変化に富んだ気候から感じているところです。
さて、今回も「ひろば」の様子をお知らせしたくてワクワクしています。この夏休みにとっても嬉しい体験をしました。ことの始まりは「ひろば」に来られるお母さんにケーキ作りの講師をお願いしたことに始まります。この方は「ひろば」に何回か得意のシフォンケーキ持参で来られ、みんなで美味しい紅茶をいれて相伴しました。そのうち「シフォンケーキを習いたい」の合唱となり、講師を引き受けてもらいました。
私が感激しましたのは、当日小学校5年生のお姉ちゃんはお母さんが講師をしている間、一歳の弟を上手にお守りをしてそのうえ、他の2歳の女の子達を4〜5人引き連れて遊んでくれたのです。途中でおもちゃの取り合いになっても余裕で相手をしている様子に私は目を見はり、豊かな気持ちになりました。人と人の交流から生れる光景は人を和ませます。
それをきっかけにその小学生は、お母さんが「ひろば」に来ない日も一人で来て、小さい子と遊んだり、お手伝いをしてくれます。先日は「折り紙」の日に自分は折り図を見てさっさと折り方を習得して、他のお母さんに教えていました。教えながら、お母さん達の話にちゃんと合わせて「私の弟も夜なかなか寝ないので困っている」と本当に困っている様に話すのを聞き、私は微笑ましく笑えてきました。
ベーテルにはお父さんが仕事がお休みの日に家族一緒に来て、昼食を食べて帰られるご家族もいます。そんな風にベーテルが家族みんなで気軽に楽しくフラリと来て過ごせる場所になるようにというのが私の夢です。
そのてくれました。
(記 森木美佐子)

15号

東京ベーテルの活動は開設4年目となり、今では地域のお母さん方に「ベーテル、ベール」と親しまれ、知られるところとなりました。しかし、まだ、ベーテルに限らず、親子で安心して遊べる「ひろば」があることをご存知でない人や、たずねてみたいけれど初めの一歩に勇気がいる人に「ひろば」を知ってもらう良い方法はないかと考えています。ニュージランドで出産した方の手記に、「何か困っていることはありませんか」と産後突然の訪問に驚き、次に感激したとありました。福祉の分野に携わりながら思いますことは「ここまでやったら良い」と言う物差しは無いということです。新たなニーズが生まれ、それに応える、その応答のうちに両者が成長をしていく、そんな繰り返しに思えます。
次に4月から福祉専門学校の児童福祉科の生徒さんが週に2回ボランティア実習に来ています。毎回感想文をB5用紙の半分に自由に書いてもらっていますが、「絵本を読む会」のボランティアさんに対しての生徒さんの感想を紹介します。「絵本を読む会」には二つのボランティアグループから同じメンバーの方が毎回来ておられ、ベーテルでは定着した活動になっています。この活動の様子を目のあたりにした学生さんは非常に感動された様子です。
  1. あんなに小さな子(平均年齢1歳半)が絵本に吸い寄せられていた。
  2. 絵本を読む前の手遊びが工夫されていて、子どもが自然に本に集中している。
このような感想の後、「あんな風に子どもに本の読める保育士になりたい」「いつか子どもに絵本を読める保育士の仕事がますます好きになった」「今日は、学校の授業より勉強になりました」など飾らない熱いメッセージが届きます。
1日のボランティア実習で学生さんは将来の仕事に誇りをもち、ベーテルに来てくださっているボランティアさんが学生さん達にとっての良いモデルになったことに、実習の意義を認め、心強く思っています。子育てをはじめたばかりのお母さんにも、このように見て学んで体験する機会がもっともっと出来るよう社会全体で意識していくことの必要性を実習生さんの体験から改めて感じています。何より、良いモデルに出会えることは人生の宝と思えますから。
(記 森木美佐子)

14号

こんにちは。春が過ぎ、梅雨の季節に入りました。
東京ベーテルに来られるお母さんもお友達も元気ですか?4月、5月とご主人の転勤でお引っ越しの為、お別れしたお母様、お友達がいらっしゃいました。お友達が1才になり2、3才になり、お一人お一人の成長をとても楽しみにしている私達スタッフにとってはちょっぴり淋しい季節でした。
私ごとではありますが14年子育てをやってきて思うことは、一人の主婦として、母親としてという前に、一人の人間であるということを大切にして、子供を愛し子育てを楽しめたらいいなぁということです。
毎日24時間母親としてベストをつくしている方(しない日ももちろんありますが)、自分がやっていることに自信を持ちましょう。「自信とは、自分で自分を良い人間と思える気持ちを指します」と、ある本に書かれていて、心が引かれましたので、このお便りに載せさせてもらいました。
次に、ベーテルの最近の様子をお知らせいたします。 かわいいログハウスやお砂場が今人気です。ピクニックシートの上で青空ランチを楽しんでいらっしゃる方もいますよ!また、東京ベーテルには、HugHug(一時預かり)、お菓子作り、アジアの料理、英語で遊ぼう、リズムでタンタンタン、パネルシアター、季節の折り紙、わらべ歌と手遊び、絵本の読み聞かせなどがあります。みなさんが自由に好みに合わせて選び楽しんで、リラックスしてみましょう。
私たちスタッフもいろいろ勉強してしっかりサポートしていきます。
新しい企画や要望などありましたら、お知らせください。みなさんとご一緒に楽しい広場をつくっていきましょう。

13号

あっという間に新年度!更に充実した内容で皆様をお迎えできるように思案中です。今年も東京ベーテルにご期待ください。
ところで皆さんは、東京ベーテルの『ベーテル』って何の意味か知っていますか?ドイツ語で『礎(いしずえ)』という意味です。礎は家などの「土台石」ですが、私は「石」ではなく「土」として例えたいと思います。人が手を入れることでフカフカの良い土が出来るように、いろんな人が関わることで東京ベーテルの土台もいいものになると感じています。私たちスタッフそれぞれの経験や特技もそのためになるといいなと思っています。水をくれる人、肥料をくれる人、太陽となってくれる人、傘をさしてくれる人などのおかげで、東京ベーテルの若い木は、この1年でとっても成長していくつかの実も生りだしました。
ひとつは、人の繋がりの実です。お母さん同士の繋がりはもちろん、スタッフの輪も広がっています。ひろばにいるスタッフ以外にも絵本の読み聞かせやわらべ歌、お料理、手芸などのボランティアさんがいます。またベーテルのために講演会に来てくださる先生方もぐっと増えました。この4月からは、東京福祉専門学校の児童福祉科の生徒さん達が、ボランティアとしてやってきます。きっとベーテルにも彼らにも新しい種が蒔かれることでしょう。そしてふたつめは、参加するお母さんたちの実です。前回の会報でも報告しましたように、仕事や趣味を活かしてミニ講座の先生を請け負ってくださる方、フリーマーケットへの寄付品を持ってきてくださる方、お料理講座の時にお手伝いを申し出てくださる方、賛助会員として資金面でのサポートをしてくださる方などがいます。また、ひろばに来て他のお子さんと遊んだりお世話しているお母さんたちを見ていると、これも大きな実のひとつだなと感じます。そしてみっつめは、東京ベーテルに来ている子どもたちの実です。(子どもたちは、まだ実ではなく芽かもしれませんね)人見知りだー!歩いたー!しゃべったー!と楽しい成長の様子が溢れています。
東京ベーテルならではの雰囲気を大切にしつつ、これからも土や木のお手入れを楽しんでやっていこうと思います。それぞれの木の成長をお互いにサポートし、見守りながら進んでいきましょう。

12号

東京ベーテル主催の3回連続講座【今、子育てで大切にしたいこと】が第2回まで終了し、あと1回となりました。参加された皆さんの反響はとても大きく、私たちスタッフ一同感激しております。「毎回違うタイプの先生の、子育てについて真摯な迫力ある語りかけに触れ、感動しました」と皆さんから感想が届いています。
日本全国で子育てに手をこまねいている今、この企画は大成功だったと、私たちは自負しております。
「もっと沢山の子育て中のお母さんお父さんに話を聞いてもらい、喜びを分かちあいたい」と会場を後にされる参加者の姿に、私は群れの一員である幸せをかみ締めました。また今回の連続講座を企画して下さった子育て支援研究センターに感謝します。
さて、前回に引き続き「ひろば」のお母さんたちの様子をお伝えします。今、東京ベーテルではお母さん講師が続々誕生中です。「ひろば」に参加しているお母さんが、自分の特技をメンバーに教え合う、そういう現象が自然に生まれてきたのです。きっかけは、「広場」に毎日のように遊びにきている一人の女の子のヘヤースタイルからでした。いつもきれいにカットされていることから、お母さんがかつて理容師さんだったことがわかりました。そこで、その方に講師をお願いし、[乳幼児のヘヤーカット講習会]を行いました。お母さんたちに大好評でした。その方は終了後、「まだ、当分人前では鋏を使うことはないと思っていたので今日はとても嬉しかったです」と喜んで下さいました。このことをきっかけに、簡単料理・音と遊ぼう等・・お母さんたちの特技が披露される動きが出てきました。私はお母さん達の新しい兆しに、力いっぱいのエールを送りたいです。
(記:森木 美佐子)

11号

東京ベーテルが、地域で子育て支援の活動を始めて3年が過ぎようとしている今、新しい息吹を感じています。東京ベーテルの発足は、既存のグループから出発したものではありません。趣旨と実践をパンフレットと会報で伝え、賛同下さる方で1人ずつ1人ずつメンバーが増えていった、それが今のベーテルなのです。それだけに現在ベーテルを支えて下さる方々から、それぞれの形で、熱いメッセージや思いを注いで下さることに感激をしております。本当にありがとうございます。
今回、特に紹介したい新しい息吹は、ベーテルの「親子よろこびの広場」に参加しているお母さんの様子です。11月のフリーマーケット出店の際は、品々の寄付を利用者のお母さん方にたくさんしていただきました。結果、過去最高の売上39,245円となりました。その後に、注文していた大型の遊具が届き早速ひろばに置きましたら、お母さんの中から「フリーマーケットの売上で買えたんですネ。次回また、頑張りましょう」と充実の声をいただき、とてもうれしく思いました。私はその声に、手ごたえを感じたのです。乳児を連れた現在は利用する立場で参加しているお母さん方も、いつかきっと、たとえば自然環境の保護でも、子育て支援でもなんでも良いのです、何らかの形でボランティアの側にまわる日がくる、と。それが大きな意味でベーテルの活動の線路上にあるように思うのです。
(記:森木美佐子)

10号

「親子よろこびの広場」となり益々多くの方に利用されることとなりました。
8月は173組の親子(子供206人)。9月も変ること無く新しい顔ぶれ、リピーターの方と利用数が定着し、場所の狭さを感じています。真夏の小さなプールは大変好評で今は砂場となっています。
子供達は遊びに熱中する体験を積み重ねながら、意欲や集中力が自然に育っていきます。
楽しいと言う感情や想像力も養われていきます。人数が増え、狭くなりつつあるこの空間で子供達が自分で自由に選んで遊べるような遊びのエリアをいかにしたら整えられるかが次なる課題です。
さて、日々子育て真っ最中のお母さん方と関わりながら、健康で幸福な子供を育てるには、子育てについてお母さんが楽しく学べる学習会が必用だと痛切に思っています。その為の準備、学習を東京ベーテルの仲間とともに進めていく計画です。この為にも多方面の方の協力と指導を仰ぐことになります。今年になり、経験豊な方々の力強いアドバイスと激励をいただいています。心から感謝申し上げます。
(記:森木美佐子)

9号

いつも東京べーテルを応援して下さる皆さんにグッドニュースをお知らせ出来る事を、大変うれしく思います。財団法人こども未来財団より助成を受けることになりました。全国で対象事業となった所が10箇所あり、東京ベーテルはその内の1箇所です。申請するよう助言を受け、決定の知らせを受け取るまで、まるで夢を見ているようでした。現在は、要項に沿ってより充実した活動を続ける事とが出来るようになりました。念願だったスタッフ制をとることも出来るようになり、非常勤2名、ボランティアスタッフ2名を中心に張り切っています。これにより、いつも同じスタッフが迎えて、お話を聞き、関われる体制が整いました。
今、このこのような運びとなった喜びをいろんな方に感謝しています。誰かの何かの思いが働かないと、こんな幸運なことがあるはずはないと思えるのです。神様に感謝します。
ただ、この事業の助成期間は3年間であり、その後は国庫補助事業の「つどいの広場事業」への移行などを図るようにとなっています。その点は東京の場合,全くの白紙状態です。私たちは4年後に向けて、新たな活動をプランニングしているところです。具体化しました折りには又、お知らせいたしますので、その節は、ご協力をお願い致します。ただ、どんなに努力を致しましてもこの事業で運営をまかなうようにはなり得ません。いくつかの先進国のように子育て支援は家族全体を支援するという視点で行政が手を差し伸べる事業なのです。しかし、行政に頼るだけでなく、NPO法人として運営費の一端を賄えるよう助成金を有効に活用して体力をつける絶好のチヤンスが与えられたと思っています。助成をうける事になり、名称も新たに「親子よろこびの広場」となりました。
最近の「広場」の様子を少しご報告致します。開設日は週に3回です。(火、木、金)時間は午前10時から午後4時迄。好きな時間に気軽に利用できます。
昼食を食べる方が多く、住まいのリビングがフルに活用されています。プレイルームとは別の部屋でゆっくり食事がとれる事は、子育て中のお母さんには気分転換になり、大変好評です。私たちもこの方法はベターだったと思っています。どんな事にも賛成と反対があるように私たちよりもっとご年配の方からは「そこまでやるんですか?」との意見も寄せられました。子育てはお母さんだけがするものではなく、お父さんはもちろん、周りの人たちみんなで支えることで、子育てが楽になると、社会全体で当たり前に思えるようになると良いですね。
7月30日にはリビングに小松崎進先生を迎え、「本の読み聞かせ」についてのミニ講演会を行いました。お母さん方の関心度は高く、先生のお話と実演にみんながやさしい、ぬくもりのある時間を共有し、目がウルルンとなった人もいました。
今後もお母さん方とボランティアが一緒にお話を聞く、このような超ミニ講演会をニーズに応えるべく計画してゆきたいと思っています。講演とボランティアさんの「読み聞かせ」の光景を写真でご報告します。このシリーズに乞うご期待!

8号

4月20日(土)の「茶話会と集い」に長寿社会文化協会さんが取材に来られました。玄関にびっしり並んだ靴の多さ、中から聞えてくる声のにぎやかさに先ず、入り口で驚かれたようです。それもそのはずです。会場は公民館でもなく、集会所でもない、普通の住まいを「集い」の場所に開放しているだけなのですから。
当日はボランティア7名、親子の参加者20名、総勢30名近い人数でひしめきあっていました。私達はこの光景に慣れて狭さを口に出す者もいなくなってきています。でも誰が見ても狭いのが現状です。其の狭いところの少し落ち着いた場所で、インタビューを受けました。私の話したことは覚えていないのですが、頂いたアドバイスは大変貴重なものでした。ありがとうございました。
時間が経つにつれ、「つどい」の場所の狭さに慣れたように、時間って人の気持ちを変えていくことを、最近何かにつけて強く感じております。同時に時間には力があることをも感じています。
茶話会と集い」では毎回プロの先生からケーキ作りを教わります。プロならではの隠し技も教わり充実した会となっています。ケーキを試食しながら、子育ての話しを中心に真剣に話したり、聞いたり、「会話のキャッチボール」のグラウンドになります。
いつも思い思いに話し込んで「また、来月ネ」と言って帰って行かれます。
「集い」という集団の中で何時しか優しい信頼関係が築かれていることを感じます。「相談室」という限定された場所でもなく、カウンセラーとクライアントでもなく、単なる同好会でもなく、なにかしら、「ホッと」感じる中に、「生き生き感」と「時間とともに生まれた清清しい信頼関係」に感動することが度々です。
私の下手な文章では十分表現しきれない思いを残しながら、今年で3年目を迎えました「茶話会と集い」の「あゆみ」をお知らせします。
(記 森木美佐子)

7号

「つどいのひろば」は団地の集会室で開催し、毎回親子で30名前後の方がゆったりと楽しく過ごされています。7名のボランティアも参加しています。
次回(4月12日)からは東京ベーテルの事務所内の談話室で開催します。
今回は「思いを書いて発進」からの声をお送りします。これは「つどいのひろば」に参加くださったお母さんにお配りし、自由に書いて頂いたものです。
今日は2回目の参加ですが、前回も今回も娘は私の存在を忘れているんじゃないかと思うほど、楽しそうに遊んでいます。このような場をもうけて頂いて深く感謝しております。自分以外にも見てくれる人がいる。こどもよりも大人の人数の方が多いというのは、とても安心して子供を遊ばせることが出来ます。1年ぶりに(?)ゆっくりとおいしくケーキを食べることが出来ました。ありがとうございました。(Kさん)
久しぶりにホッと一息つくことが出来ました。子供も同世代の子を見て、いい刺激になりそうです。また来ますネ。(Sさん)
今回、初めて参加しました。ボランティアの方の目が届いていて、ゆっくりと楽しめました。子供もみんなと遊べて嬉しそうでした。また、参加したいと思います。ありがとうございました。(Tさん)
今回は3名の方の声をお届けしました。参加者は「茶話会と集い」のお菓子作り講師の先生が作られたショートケーキを賞味し、子供が機嫌よく遊ぶのを見ながら、懇談のティータイムができて、つかの間の至福の時間だったようです。
「つどいのひろば」は親子で遊べるフリースペースです。ただし、自主サークルではありません。育児経験者や、子育て支援に関心のある方がボランティアでサポートします。
私たちは親子でくつろげる「居場所」を先ず提供しているのです。当日は絵本とか、オモチャやお昼寝の準備など、いそいそと準備をして皆さんの来られるのを待ちます。
皆さんが三々五々集まってこられますと、子供達と遊んだり、座り込んで、お母さんの輪の中で話を聞いたりと自分たちも弾んだ楽しい時間を過ごしています。
私たちは地域に根ざした活動を目指しています。地域社会=コミュニュティで生き生きと生きていくとはどういうことでしようか。それはコミュニュティの参加者自身が、一人一人主体的に参加することから始まります。私たちのボランティア活動は地域で生じたニーズを尊重し、自由意志で取り組んでいます。参加された親子の方達も、ボランティア同士も其の日の思いを共感できる、そのことがエネルギーの源なのです。
(記 森木美佐子)

6号

2002年を迎え、私たちメンバーは希望に満ちております。設立して2年目の昨年は、たくさんの方が東京ベーテルの扉をたたき、参加されました。ボランティアで参加される方が「前からこのような会で活動したいと思っていました。やっと夢が実現します。」と弾んだ声で話されるのを聞き、この会はボランティアとして夢を実現する場所でもあるのだと、身の引き締まる思いがしました。
電話を通して、子育て中のお母さん方から様々な相談を受けました。糸口は子育ての悩みであっても、時間をかけて話しを聞いていくと、「自身の虐待」や「夫婦の問題」に辿り着くことが多々ありました。2〜3ヶ月我が家のリビングで面談を続け、時には昼食を共にし、家族の再生に向けてスタートされた方もいらっしゃいました。私はいま、夜寝る前のひと時、「もう大丈夫です」と再スタートされた方々に便りを書くことにより、私自身励まされることがあります。
住まいを開放して、ボランティア活動を始めて3年目なのですが、今問題に直面しています。利用する方が次第に増えて、場所が狭くなりました。母親に連れられ、参加した子供たちは異年齢ですが、上手に遊んでいます。それはそれで微笑ましいのですが、遊び盛りの子供たちには場所が狭いことは否めません。そこで、東京ベーテルの今年の目標は、子供たちがのびのびと遊べる広い場所を見つけることです。東京でそのような場所を見つけることは至難の業なのかもしれませんが、私たちは希望を持って、小さな一歩を仲間と歩んでいきます。
2002年、新たな1年に向けて私達は歩き続けます。会報に目を通してくださった方からのご支援やアドバイスをよろしくお願いいたします。
(記 森木美佐子)

5号

東京ベーテルは様々の方からの応援を受けて、2年目の活動を行っております。
「茶話会と集い」は新しいメンバーを迎え、子どもたちも増え、活気に満ちています。異年齢の集まりがプラスになり、狭い場所でも上手に仲良く遊んでいます。
時にはお母さんたちのケーキ作りにも参加しています。昨年、設立しました時は、メンバーは10人でしたが、いざささやかな活動を始めましてからはそれぞれ違う分野からの励ましや、手助けを受け、応援に感謝しながら歩んでおります。地域に根ざして活動することの意義を日増しに深く考えることになりました。
話は変りますが、私は専門学校の寮長として、寮生の生活指導という仕事をしています。ここで、今時の若い人の感性に感心したり、おどろいたり、けっこう楽しんでおります。出身地は北海道から九州まで広範囲です。したがって、保護者の方とお会いするのは入寮の時とたまに上京されて寮に泊まられた時です。普段は電話で時々、状況報告をします。
ある時、本人は既に退寮して寮には居ないのに、お母さんから土地の名産が送られてきました。びっくりしました私は「何もしていないのに申し訳ない」と電話しました。するとお母さんはいともアッサリと「寮長さん、私は寮長さんが好きだから送ったのです。子どもが世話になっている、いないは関係ありません」と言われました。計算なしに丸ごと「寮長さんを好きなんです」と言われた言葉に私は圧倒されました。私も好きな人は沢山いますが、なんとケチな「好き」でしょう。私の「好き」は条件つきの好きであることに気づきました。あの人のこんなところが好き、この人のこの面は自分にないから好きといった風にです。相手を丸ごと受け入れられる度量の大きさに、ボランティア活動の根っこのハートを教えられた思いでした。この方は、アジアの貧しい国に学校を作るボランティア活動を長年やっておられる方です。
(記 森木美佐子)

4号

前回の会報でお知らせしていました東京ベーテルの第1回総会とケーキパーティーを6月23日に無事終えましたことをご報告致します。当日はケーキ講師の先生とお仲間の方が2日がかりで作って下さったみごとなケーキを賞味させていただきながらの総会となりました。「ホッとスペース」が目指しております「ホッとくつろげる」雰囲気そのままの和やかな会でした。お二人の先生に心から感謝致します。
出席下さったみなさんからは「なんだか結婚式にでも出席したみたい」と幸せな顔、顔でした。
ケーキの報告ばかりになりましたが、議題もみなさんのご協力で協議、承認されました。
さて、ボランティア団体が発足して1年になります。私も仲間も手探りでやってきて、様々な人と出会い、初めての体験を沢山しました。
その中で、私たちの小さな一歩に関心を寄せて下さった方達一人ひとりの気持ちに一番感激しています。今まで、自分への関心をそれ程求めることのない人生を歩んでいたのかも知れません。この年齢になって初めて、人から関心をもってもらうことがこんなにも励みになるということを知りました。関心を寄せてもらうと、自ずと怠けることはできません。期待に応えたいと内からエネルギーが沸いてきます。何か、つまずくことがあっても、こちらに向いている視線を感じると投げ出すことはできません。自分がそのような体験をして、関心を向けられることの少ない、寂しい気持ちも痛いほどに心の底から理解できたように思います。この世に一人しかいない尊い存在も、自分一人で自覚するようになるのではなく、周りから注がれる温かい視線を感じてこそなのだと強く感じました。この小さな団体「東京ベーテル」の存在意味もそこにあると思っています。
(記 森木美佐子)

3号

今年3月11日に東京都立多摩社会教育会館で行われた市民活動の集い“もっと楽しく子育てしたい!”に参加しました。
そこで青木悦さん(教育ジャーナリスト)の講演を聞き、感銘を受けました。
先生のお話しの中から1つ紹介します。

親はこのようになって欲しいという幻の子供像をもっており、かけがいのないたった1人の子供と比較しているのではないでしょうか。」と問うています。「親は願望の子供像をもっていて、子供にとっては、自分なりに頑張っても頑張っても親の抱く理想の子供像には及ばず、自分の存在を否定されていくことになる。そのような親子の間柄だと、子供は困難に出会っても親を求め、避難場所とはなりにくい。しかし、親や家庭は本来子供にとって安らぐ場所ではなかったのか。」そのような趣旨のお話しでした。
話に釘づけになりながら、私が様々な形で出会った親子の関係が講演の内容とオーバーラップし、胸がキューンと痛くなりました。親以外の人でももちろんそうですが、一番身近な親に誉められると子供は自分に自信をもつことができ、伸びていきます。大の大人でも人から認められると自信となるわけですから、いわんや子供ならなおさらです。
しかし、親に認められ、誉められることの少ない子供がなんと多いことでしょう。子供時代に親から受けた一言に傷つき、自信をなくし、その後の人生で自信を取り戻すのに長い年月がかかった、という人たちを知っています。
そのとき、自分の世界の全てだった親から一言「よくやったネ」と認められたらどんなに励みになったことでしょう。
親は子供を養育することによって親として成長していくのです。つまり、青木先生の講演題名「子供と共に生きること」こそが大切なのだと思いました。
(記 森木 美佐子)

2号

私ども「東京ベーテル」は、昨年12月に特定非営利活動法人の認証を受け、地域での子育て支援活動をしています。
ところで、みなさんは「家庭」ってどんなイメージをもっていらっしゃいますか?
以前、相談員として働いていたころ、利用者の話をひたすら聞き、「辛かったネ」の言葉を繰り返しながら涙の顔を覆うことがしばしばありました。
ある利用者は「夫の暴力から開放されたのにまた戻るの?」という問いに、「私は施設で育ったから家庭を知らないんです。一度、家庭というものを作ってみたいんです」と目をキラキラさせて答えました。
この彼女のように「子供がいて、両親が一緒に暮らせば夢に見た家庭が築ける」と切望する多くの女性たちに接するにつれて、暴力におびえない安心のできる家庭を築いていけるようにと願うものでした。
また、昨今の様々な事件を目にする度に「家庭」の役割とは何だろうと考え込んでしまいます。
新聞紙上では、“両親のそろった普通の家庭”とか、“傍目には何不自由無い家庭”という表現がよく使われています。しかし、親さえいれば家庭の在るところで育ったと言えるのでしょうか。
私は子供を育む「家庭」が、子供にとって安らぐ場所であったかどうか、振り返りながら親と子供が共に育っていくことが大切だと考えます。
みなさんはどのようにお思いでしょうか。
1月の雪の降る日も赤ちゃんをおんぶして参加して下さった方は、「子供を預け、職場と家の往復だけだとストレスがたまります。月に1回、気軽に子供を連れて来られるところがあると思うと、とても楽な気持ちになります。」と感想を言って下さいました。
狭い場所にお呼びして申し訳ないという思いがありながらも、こんな感想を頂くと、「ホッとスペース」を始めて本当によかったと元気が出てきます。
(記 森木 美佐子)